菜束の目から涙が溢れる。

碧は菜束の涙で濡れた膝に手を置いた。




「俺にとって、好きな人の方が多いけど、でもやっぱり俺にだって、嫌いな人は沢山居る」

「…うん」

「だから小玲がお姉さんを嫌いになってしまったことは小玲のせいじゃない」

菜束がまた下を向く。

「…うん」

「うん!」

碧の笑顔。
菜束は何かがもうどうでもよく思えた。




河原で座り込む二人は、何かが変わる音を聞いた。
















「俺小玲送ってこうか?」

「え、そんな全然良いよ」

「じゃあ隣自転車で走るだけなら良いでしょ?」

「…でも綿貫遅くなってお母さんとかに怒られない?」

碧は自転車のサドルに目を移した。

「あー…それは大丈夫、うち親居ないから」


「えっ」

「え!あ、別に死んだとかじゃなくて、家に居ないってだけだから!言い方おかしかった!」

「わ…綿貫が良いなら…うん」

「了解!」