=凪=

『まったくぅ………』


部屋を出た陸は、自分の少しイライラしながら、洗い立ての髪をクシャっと掴んだ。



『そりゃ………いつもあれだけ蓮、蓮って言ってりゃ、俺だって心配にもなるさ…』



今にも降り出しそうな空を見上げた。



「はっきりしない俺みたいだな……」



フッと笑った。



シャワーを浴びたての肌には、夕風がきつい。



さっきまで、肌を合わせていた、菜津子の温もりが恋しくなる。



襟を立て、唇を尖らせながら、仲間の待つ場所へと足を急がせた。