私は一人

海の中を歩いていた。

エラ魚を食べたから
呼吸が出来る。

ブライトは隣に居なくて、
はぐれてしまったようだ。

心細くて寂しかった。
ブライトの名前を呼んでも
水圧で息ぐるしくなるだけ。

でも私は呼び続けた。

『ブライトォ-?どこにいる?』







いつの間にか
私は暗い海底をさまよっていた。


もう時間がない。エラ魚の効果が
きれ始める時間だ。

私はゆっくりと海面に向かって
昇っていった。


‐ザプァッ‐


一息つこうとした瞬間。

何かに足を引っ張られた。

『!?』


力が強くて何も抵抗が出来ない。

目を凝らすと
竜神のような顔立ちをした
恐ろしい獣の様に見えた。

『‥』

薄れゆく意識。

巡る 父、乳母、ブライトなどの
多くの人の顔。




助けて‥

‥‥母上‥。