朝、目が覚めて一番最初に見たものは。「っ!」なぜか怖いくらいに爽やかな笑顔の伯爵だった。
「あ、起こしたか?」
起きちゃいましたよ。ばっちり目が覚めてしまいましたよ。部屋の隅には居心地悪そうにしている侍女が二人。…強引に押しきったのね。
軽く寝癖のついた髪を手櫛で整えながら体を起こす。当然のことながら伯爵の身支度は完璧だった。
「貴族は朝寝坊って聞いていたのに…」
「昨日は早くに寝たからね。社交界の季節になったら、さすがにこの時間帯には起きれないだろうが」
あたしの呟きの意味を理解したのか、伯爵が苦笑した。あたしが身を起こしたのを見て伯爵は寝台から離れる。それを見て、侍女たちがあたしに近寄った。
「着替えたらサンルームに降りておいで。朝食を食べよう」
サンルームってどこだろう。たぶん侍女の方たちが連れていってくれるんだろうけど。
昨日着せられた服とは違う服に着替えさせられる。コルセットを締める必要のない楽なドレス。…サイズがぴったりなのはなぜだろうか。

