たいよう




on your mark







まだ、予選とあって、最後は流す。速報で11.15。予選ならいいんじゃないだろうか。




ふ、とあの光景が目に浮かぶ。
中学時代の紗愛の表情が、いまでも全てはっきりと思い出せる。


余裕だね
やるじゃん
くやしーい
やったじゃん



どの顔も鮮明に、思い出せる。
走り終えたあと真っ先に来たのは、いつも紗愛だった。






なに考えてるんだか。
紗愛は、もう俺のじゃない。
ぎゅっと、ぶら下げていた指輪を握った。もう、チェーンごと、自分の体の一部になっていて、全く気にならない。




ただの、未練たらたらの男ではないか。そんな自分に嫌気がさして、はぁ、とため息をついた。






「余裕で通過してるくせに、何ため息ついてんだよ」



「あ、舜」



「あ、舜、じゃねーよ、バカヤロー」




うざい舜に一瞥をくれると、おれは、もう一度ため息をついて、スパイクを脱いだ。






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