「はぁ…」


そういえば、この人の名前ちゃんと聞いてなかったかも。

龍美っていうんだ。





「んじゃ行くぞ。もう俺ん家近いから」


そう言って龍美さん(?)は私の手を握り、さっきよりもスピードを緩めて歩き出した。



俺ん家って…

この人に家があるの?


私はまだまだ、ここの国のことを把握出来ていないようだ。










「着いたよ」

「…ここが家!?」


連れて来られた家からは海が見えて、まるで金持ちが持つ別荘のようなそんな家だった。





「そう。入って‥」


龍美さんはウッドデッキがある一階のベランダから、サンダルを脱ぎ家の中に入った。

私もローファーを脱いで、家の中に入る。