私もその視線に目をやると…

パイプオルガンの椅子に座り、楽譜のような本を開きながら、こっちを見ているお爺さんがいた。





「そうですか、新人さんですか。ちょっと待ってて下さいね」


お爺さんはそう言って立ち上がり、杖をついてこっちに近づいて来る。





「あなたが新人さんですか?」

「…?はい(?)」



そのお爺さんは、優しそうな顔で私に聞いた。




「海で倒れてたんだ。ココの事なにも知らないみたいだから、辰夫のオッサン所連れて来た」


私の隣で、男の人がお爺さんに説明する。