龍美は何も言わず、ただ私の手を引いて歩いていた。

だけど龍美の肩が、微かに震えているのがわかった…













ザザーン……


ザーン…




龍美に手を引かれやってきたのは“海”。

私は砂浜に座り、夜の海の波音が響く中で俯き、健太郎くんのことを考えていた…


龍美は私の頭を撫でながら、タバコを吸っている。






「…健太郎はさ、施設に暮らしてんだよ」


ずっと何も言わなかった龍美が、突然口を開いた。






「…施設?」


頭を起こし、龍美を見つめる。