天国に近い場所

そうだよね…

何も知らないまま、健太郎くんは現実に戻っていくんだね…


私は健太郎くんから預かった腕時計を、ギュッとにぎりしめた。





「でもすごいな。正樹と龍美は、何事もなかったように、今健太郎とああやって遊んでる。あたしなんて‥健太郎を見るたびに、泣きそうなのにさ…」

「うん…私も」


あの二人はすごい…

なんだかんだ言って、やっぱり大人だ。


私はすぐ側の浅瀬で、遊んでいる健太郎くんを見つめた。



健太郎くん…





ポロ‥


私の目から一粒‥涙が伝った。



健太郎くん…

“さよなら”なんて、したくないよ…