二人の息が混じり合い、求め合う。この時間が今のボクのスベテと言っても過言ではなかった。


「あぁ、んっ、もう…あぁ、いっ…」


「ミク、はぁ、んっ、愛してるよ。チュッ、クチュ…」


「チュッ、んっ、アキト…あっ、愛してる。あぁぁ…」








「そろそろシャワー浴びないと…、私、先にいくね」


ミクがベットを抜け出してバスタオルで隠しながらシャワーへと向かった。


ボクはタバコに手を伸ばした。


なぜか、この時のタバコは何本吸っても旨い。



ん?火は?そう思って、間接照明のツマミをいじった。



少し離れた所にミクの裸が浮かんだ。


「も〜〜。向こうむいてて…」


ミクは背を向けた。


…ん?


ボクはミクの背中に旦那の影を見つけてしまった。



ボクはベットを飛び出し、ミクを後ろから抱きしめた。




「ミク……。」




ボクは迷った、ここはクールに何も見なかった事にするか…。それとも、この嫉妬という感情に任せて、もう一度押し倒すか…。


ボクはミクを抱きしめたまま止まっていた。





ミクの手がボクの髪を撫でた。


「どうしたの?」








「いや、何でもない。ゴメン。シャワー…行って。」


ボクはミクを解放しベットに倒れ込んだ。



何も見なかった事にした。

平穏の為にヨウコを抱いている自分の事もある。


それに、感情に任せると、ミクをムチャクチャにしてしまいそうだった。

そして、何より、嫉妬に狂う自分を見せたくはなかった。



シャワールームの閉まる音と共に、醜い嫉妬が溢れ出した。


ボクは向けどころの無い感情をベットに叩きつけた。鈍い音しかしないクッションが感情の行き場を無くす。


「あぁ〜、もう!!」


ボクは感情を必死で抑えた。



部屋中に広がりそうな嫉妬と言うドロドロを隠す為に。




カチッ、カチッ。


タバコに火をつけようとしたが、こんな時に限ってライターは空だった。

「はぁ〜…………。」