下手過ぎる幸也の演技に落胆しながらも、俺は桃の方に顔を向けた。
桃は既に顔から赤みが引いていた。
そういえば…
「桃、今日のパーティーにな、青木のヤツ来れなくなったんだとよ」
「っへ…?
という事は、玲ちゃんも?」
一気にシュン…と落ち込む桃。
コイツは、青木の奥さんの玲さんと仲が良い。
なかなか会えないでいたから、今日のこのパーティーを桃は誰よりも楽しみにしてたんだよな。
「その代わり、青木の高校の同期生が来るらしいんだよ」
「そ…そうなの?」
「ああ。
確か名前は―――」
そう呟いた瞬間、ドアの方から物音がした。
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