「来た…」

「えっ?あっ?おい零稀!」

突如頭を抱え崩れ落ちていく俺を

「どうしたんだよ?しっかりしろ何があったんだよ?」

大和が抱え上げた。

「零稀!おい零稀!」

その声に走り寄る影が二つある。

「どうしたんですか?」
「大丈夫ですか?」

射程圏内に入り込んだ影に
手を伸ばしかけるよりも先に。

「俺にもよく解らねぇんだ…。
突然こいつ具合悪くなっちまって倒れたんだよ」

狼狽える大和の声が耳に入る。

「ママ…」

明らかに動揺した娘の声は震え。

「救急車呼んでもらえますか!」

大和の声に反応した母親が、

「ダメ!」

尖り声を上げた。