立ち去る気のない俺に
奴が近付く。

「それ以上近付くと怪我するよ?あんたの仕事は在るべき者を在るべき場所に還すことだろ?」

構わずに歩を止めず近付く奴の足に罠が掛かる。

「あ〜あだから言ったんだけど?悪いけど邪魔されたくないからさ後で外してあげるよ…」

勿論俺の仕掛けた罠を奴が外せるわけがない。

「大人しく其処で待っててよ。
直ぐに還すからさ…」

もがき余計に食い込む罠に
苦しみ暴れる奴を尻目に
蔭を包み自ら還させた。

「さて、文句受け付けますか?」

奴の脇に屈み顔を見る。

整った顔立ちに綺麗な肌が傷付き血で紛れる。