冬の華

《相変わらず…扱えないのか》

いくら集中しても気を具現化することは出来なかった。

《イメージが弱いんだ。
強くはっきりイメージしろ》

そんなこと言ったって、
見えない気をどうやってイメージするんだよ。

丸まって寝たままのワンダが、
尾の先を動かすと、
本棚の本が真っ直ぐ向かって
飛んでくる。

それを右へ左へ下へと避けるが、
尾の動きは止まらない。

叩き落としても、
蹴り落としても、
その動きは止まらず、
速さを維持したまま襲ってくる。

少しでも気を緩めれば、
容赦なく分厚く固い辞書や参考書の打撃を受けた。