国境さえ越え
荒れ果てただだっ広い大地に

ヌルが悠然と待ち構えていた。

「此処でなら派手に暴れて良いぞ思う存分乱れ俺を楽しませろよ」

「…手加減なんかするなよ…」

「面白い事を言う。
手加減だと?
本気を出すまでも無い。
無駄な気力を使わぬだけのこと」

組んだ腕も外さず
流暢に続けた。

「零稀…
お前は人間に染まり過ぎたな。
愛等と下らぬ感情に左右され、
力を抑制出来なく為る様では…
いずれ手遅れに成りうることを
覚えておくことだ。
事実…
お前が以前昇還したヴェリアスの件で半端な力しか持たぬハデス一族の一匹が地上に存在すると
広く知れ渡っているぞ」