喜んでいただと?

そんな筈がない!

なら何故俺達を棄てた!

まだ身動きさえ取れない体で、
ヌルを睨み付ける。

「ナルはね…よく話してくれた。彼の住む世界の事をね…。
望むものは直ぐに手に入る世界。善悪も何もない自分だけの世界。無限に広がる空間と時間の概念のない時…。
初めは興奮しかなかった。
私の知らない世界の中心。
それが次第に恐ろしくなったの」

ヌルの世界…ハデス。

母はハデスを知っていたんだ。

ヌルが何者なのかも…。

「ナルは連れて行きたがっていたけど私には出来なかった…。
貴方は私の息子なんだから!
そんな場所で育てられる筈がないのよ!
私の中心はその時から貴方だけ」