イジワル王子とお姫様

だけど…。さっきみたいに、ドキドキして顔が赤くなったりはしなかった


だって、ナツキくんの目はとても冷たくて…私の心に、鋭く突き刺さってきたから


「あんたこそひどいじゃん。オレの事知りもしないくせに、好きだとか簡単に言うなよな」


ナツキくんに言われた一言が、何度もこだまする。そんな言い方しなくっても…


でも、私もこれだけは伝えなきゃ。明日から本当に避けられて、通学時間も変えられて、もしかしたら、会うのは今日で最後になるかもしれないんだから


「し…知らないわけじゃないよ、ナツキくんの事。少しなら知ってる」


「へぇ」


さほど興味なさそーに、ナツキくんが呟く


「私の事…覚えてない?ナツキくん、昔、アルション幼稚園に通ってたよね!?」


突然の私の告白に、口をぽかんと開けたまま言葉を失うナツキくん