イジワル王子とお姫様

「桃香、どしたの?何かテンション低いけど…。あ、ナツキくん戻って来た」


うわっ、どうしよう。私の横しか席空いてないし


ひえぇぇ、絶対怒ってるって。ナツキくん、この前見た時みたいに怖い顔してる~


思わず立ち上がって、違う席に移動しようとすると杏に無理やり座らされる


「ちょっと、桃香。頑張って!ちょっとはナツキくんと喋って帰ってよね。銃士くんにもあの話、したから」


へ・・・あの話?


『初恋の人』って、杏が口パクでゆっくり口を開け閉めする


ま・・・まじ~!?もう、今更、ちょっと知られたくない気がしてきた


昔同じ幼稚園で・・・とか言っても、だから?とか言われそうっ


私が好きなナツキくんは、きっともういないんだよぉ~。あれは、きっと幻!


そう、思いたかった…