イジワル王子とお姫様

彼はおもむろに自分の手に視線をやると、そのままペロッと舐めた。


「もう治った。ほら、どけ」


ええっ!何それ。


私に心配すんなとでも言いたそうな、迷惑そうな顔。


さっきの寝顔とは全く別人の、冷たい目。


「でもっ……そんな急に起き上がると体に良くないんじゃ?」


怖いながらも、無理に体を起こそうとする彼の腕にしがみついた。


その時、杏と一緒に走って来る足音がした。


「おい、大丈夫かっ?」


駆けつけて来たのは、隣の男子校の制服を着た、長身のイケメンだった。


こんな時にもイケメンチェックしてる自分が悲しい。