イジワル王子とお姫様

ナツキくんは鉛筆を手に取ると、サラサラと何か一言書いてすぐそれを、備え付けのボックスに入れた


早っ!その早業に負けじと、私も感想を紙に書いた


『どの写真もすごく素敵でした。好きな人と一緒に見たので、ロマンチックな気分になれました』


よし!これでいっか


今日の電車での出来事を思い出し、そんなコメントを書いた後、焦ってナツキくんの方を振り返った


あ…、もう出ちゃったんだ


見ればナツキくんは最後の衝立を抜け、物産展のお店の方へ向かっていた


私もすぐ、その背中に向かって走って行った


目離すとすぐどっか行っちゃうんだから


私にあぁ言ったけど…、フワフワ、風船みたいなのはナツキくんの方だよ