私は、あることに気が付いた。 …お喜世のお方様。 あまり、お茶を飲むのがお好きではないのかしら。 御台様や、他の側室の方々と違って… さほど、作法をお守りにならなかったように見えた。 きいた話しによれば、お喜世の方は、もとは浅草小町と言われた、江戸の町娘だった。 だから、私のように、茶の湯などやる機会がなかったのよね。 きっと。 でも、だからといって、作法を破っていいとは思えないわ。