今日も、上様のお渡りがあると伝えられた。 今は、着替えをすませ、髪をすいてもらっている。 「出来ました…。」 「ご苦労様。」 あっ…。 普通、お礼など言わないところ、私はいつも言ってしまう。 「いつき様!」 「…気をつけます。」 これもある意味では作法のような物だから、いつもしかられる。 「さぁ、参りましょうか。」 私は、逃げるように歩き出した。