「…萌花?」 龍が心配そうに覗きこんでる なんで? って。 どうかした? って。 だって… 『だって……』 『りゅう…が…… なんも、喋んない…から……』 あ-もう、本格的に泣けてきたよ。 さっきまで気まずかった悲しさ、と やっと喋ってくれた、安心で。 「えっちょ、萌花っ?」 見えたのは、すごい焦ってる龍と 涙で歪んでく世界で、 「チッ…」 ってちっちゃく舌打ちが聞こえて 歪んでた世界がいきなり真っ暗になって、 唇に、熱くて柔らかいものが あたってた