もう大丈夫だよ。
忘れようって思えた。
雪兎と一緒で良かった。





…なんて思っていたのも束の間だった。


水族館の中にあるレストランで食事を取っていた時、出会いたくない人物に会ってしまった。



…それから幸せは脆くも崩れ落ちていくことになる。







「やあ、ゆきじゃないか」



低く少し馬鹿にするような声に私は顔を青くして振り返った。
其処にいたのは、私の叔父であり私を苦しめた山咲賢治(ヤマサキケンジ)だった。
しわのある顔にいやらしい笑顔。
もう逃げられたとばかり思っていた。