現代

 深夜を過ぎた街は、幾多のまばゆい光に包まれていた。

 土曜の夜。一週間の仕事から逃れようとするサラリーマン達が人生を謳歌する。

 ごく、ありふれた光景だ。


 その大通りから、数本離れた裏道。

 たった数分の距離で景色はグッと変わる。

 ポツンと灯る街灯、それは頼りなさそうに暗闇に浮かぶ。

 そこを道行く人々は、明らかに普通のサラリーマンとは違う。そこを住みかとするは、時代にあがらう者、堕ちた者。

 ここは、荒ぶる猛者吃(もさども)が凌(しの)ぎを削る戦場なのだ。

 その裏街で銀色の髪でゴーグルをかけた男が、数人の男に囲まれていた。


「た…頼むよ。見逃してくれ。」
 周りを取り囲む男の一人が懇願(こんがん)する。

「駄目だ!正義は揺るが無ぇ!」
 銀髪が叫ぶ。羽織ったアロハシャツがはためいた。

 通り過ぎる車のライトに照らされ、銀髪の顔が浮かんだ。

 それは、銀河連邦の“スーパーヒーロー”ジャスだった。

 スーパーヒーロー。それは広大な大宇宙を守護する、銀河連邦に選ばれし者の事だ。