“新選組”幕末の日本において、避けては通れぬ名だ。
 京都守護職配下の京都治安警護隊、別名“壬生狼”。京都の壬生村に居(きょ)を構えていた故そう呼ばれる。


「新選組?…だが、見ない顔だな。」
 別の男がチラチラと新太郎と呼ばれた隊士を見る。

 新太郎は新選組の羽織りで着飾っているが、未だ隊士見習いの少年だった。

「…確かに新選組らしい。たがまだ只のガキじゃあねーか!」
 また違う男が叫んだ。

「只のガキかどうか、確かめて見るか?」
 新太郎が頭を振る。

「ガキが調子に乗るなやぁーっ!!」
 男達の一人が上段の構えでがぶり寄る!

 ズガーッ!月夜の元、青白い光りが交差した!
「ぐ…?」
 次の瞬間、男の体躯が地面に屈伏す。

「まだやるのか?命が惜しければ、尻尾まいて帰る事だ。」
 新太郎が言った。鋭い眼光が男達を見据える。

「くそぅ!…だが、相手は一人だ!かかれ。」
 首領格と思しき男が叫ぶ。

「そうだ!我等が負けてなるものか!!」
 呼応する如く、男達が一斉に斬り掛かった!

 咄嗟に新太郎は足を蹴り上げ砂煙を、目の前の男に浴びせる。

「ぐおっ?」
 それを食らった男が、身を止め慌てふためく。
 新太郎はサッと男の背後を取った。

「な!?」
 仲間が勢い余って刀を斬り込んだ!

「ぐわーっ!」
 男達は同士討ちの形となる。!

「て…寺田!?」
 斬り込んだ男は、戸惑いを隠せない。

 ズバッ!が、その男も、新太郎の手によってあっさりと斬り伏せられた!