勿論、隆也を嫌いになったのではない。 ノリコは愛情深い女だった。 そのために、これまでも必要以上に傷ついてきた。 妻子持ちの隆也となら、期待をし過ぎることもなく、割り切った付き合いができると思っていた。 しかし隆也はノリコにとって、魅力的過ぎた。 自分から離れることでしか、えぐられた傷が更に化膿しそうになるのを止める術がみつからなかった。