「はるかー、はるかー?」





下から、母さんががなる声が聞こえる。当たり前だが、俺は無視だ。理由は後々分かるだろう。




「はるかー?ちょっとーまだ寝てるの!?まったく…お父さーん、遥まだ寝てるから1人で草抜きやっちゃって〜」




えー?と父さんが不満げに声をあげる。しかしガタガタと物音がしたので、母さんに睨まれたかなんかで重い腰を上げたんだろう。




(…馬鹿馬鹿しい、やってられっかよ)




俺はごろんと寝返りを打って窓の外を見上げた。
外は今年最高の真夏日。こんな日はクーラーの効いた室内でごろごろするに限る。




俺は目を閉じた。
今年から夏休みが短くなったせいで宿題が減ったので、夏休みはほぼバイトで日数が潰れた。
夏と冬ほど稼げるシーズンは無いからと、俺はここぞとばかりにかなりきついシフトを組んだのだ。
よって今日は二週間ぶりの休み。たまにくらいゆっくりさせて欲しい。ぶっちゃけ草抜きなんて言語道断だ。





(俺んちは女共の人使いが荒すぎんだよな)





そんなことを内心ぼやいていると、ノックもせずに部屋が開いた。