前田律子。高校2年生。
教室の隅にアタシは座っていた。
黒板を叩くチョークの音だけが教室に広がっている。
いつもどおり退屈な学校・・・
いつもどおり退屈な授業・・・
いつもどおり退屈なアタシ・・・
周りはみんな、
眠ったり、
ケータイをいじったり、
アタシは眠たくもないし、
ケータイをいじる気にもなれない。
窓の外を見る。
体育の授業をしている。
男子たちが飛んだり跳ねたり。
緑色のダサいジャージ。
正直、全員かっこよくもない。
アタシはどうも珍しいタイプらしい。
“かっこいい”の基準が顔ではないのだ。
一番大事なのはリーダーシップ!
私には妹が2人。
いつも私が2人の前を歩かないといけない。
私が2階へ行けば、妹たちも2階へ来る。
遊園地に行けば、私が何に乗るかを決める。
アイスクリームの味も私が決めなければならない。
たまには後ろも歩きたい・・・
全寮制のこの学校に来てから余計そう思うようになり出した。
この条件を叶えてくれそうな人が1人だけいる。
そう、彼。
清水恭平だ。
