“見つからない” これは絶対条件だったのに……。 「もぉっ、無視しないでよぉっ」 今度はあおいに返り討ちあい、 「ご、ごめん……あおい!」 背中をポカポカ叩かれながら、 例の質問の答えを 自然かつ、至って普通に どれだけのバリエーションを揃えられるかが、次の授業の課題になってしまった。 ①忘れ物を借りようと思ったの ――じゃあ、なんで借りないでいなくなったの? きっと凜久はこう返してくる。 これじゃ……ダメ。 ②凜久に用事があって…… ――なんの用事? ああ! これもダメ……