頭では動かそうと思っているのに手が動いてくれない。 さっきまで縫い付けられていた場所 そのままの形で 私の手首はカタカタと、力なく震えているだけ。 「……!」 遊くんの片手がゆっくりと動き出す。 上へ、上へと。 髪に触れられた瞬間、反射的に目を堅く閉じた。 「や、めて――…」 触れられた場所が、ジリジリと焼けるように熱い。 首筋を覆っていた髪を退かすと、遊くんが触れた場所――。 凜久が付けた……キスマーク。 「……壊れちゃおうか、一緒に」 たったその一言だけだった。