見慣れた景色が、窓の向こう側を通り過ぎていく。 「――あ、もうすぐ…」 「…乗って来る駅?」 凜久は多分、 『遊くんが乗って来る駅?』 って聞きたかったんだ。 名前を省略したのは――。 「俺が、瑠璃が呼んでる呼び方で呼ぶのもなんか変だね」 「そんな事ないよ?」 ――あ、もうすぐ……着く。 電車がゆっくりと速度を落としていく。 完全に止まる前に、口を開いたのは…凜久だ。