「もう時間迫ってるし――そろそろ、行こう?」 あおいの声に、ハッと顔を持ち上げた。 「その前にトイレ行ってくるね」 「……あ、私も」 そんなトイレの帰り道、あおいより先に出た私は―― お弁当を持って来てあげようと、急いで教室へ向かった。 前しか見ていなかったから、気付かなかったんだ。 曲がり角から出て来た ――細長い手に。