運命の扉


「…どうした?」

優斗は1人で話ていることに、ようやく気づいた。
あたしの顔を覗き込む。
その瞬間、目を見開いて驚いた。

「…莉奈……!?」

驚くのも当たり前だと思う。

あたしの瞳からは次々に涙が零れ落ちているのだから。

理由なんてわからない。
勝手に涙が出てきて止まらない。
心の奥が苦しくて、痛くて。
抑えきれなくなった悔しい気持ちが溢れてどうしようもない。

こんなに冷たくされて。
何もしてないのにキツい言葉を投げられて。
憶測だけで話を進める。

「なに泣いてんだよ…」

ほらね。
あたしの心の痛みにも気づかない。

「優斗…何が言いたいの?」
「別に俺は…」
「なんだか…昨日からおかしいよ。」
「えっ?」
「あたし何かした?優斗が機嫌損ねるようなこと言った?」
「…いや……。」
「じゃあ、どうして冷たくしたり、突っかかったこと言ったりするの?」
「……………」

優斗は黙ってしまった。
重い空気が流れる。
涙は啖呵を切ったように瞳からあふれ続ける。
コントロール出来ればいいんだろうけど、今のあたしにはそれさえ無理だ。

一緒の空気にいるのが耐えられなくなる。
胸が張り裂けそう。