呼ぶのは自分が恋心を抱く少女。あの血は格別に美味い。極上の血だ。でも自分の中では、食料のスキではない。


会うたびに、傍にいるたびにドキドキし、笑ってくれるとうれしい。泣くと悲しい。いつしかリリ本人を求めてしまう。恋をしてしまった。


リリは今どこにいるかは知らない。魔界から、この世界に出てきて5年はたった。


好奇心できたこの世界はおもしろいとも思わず、穢ればかりに目がいった。


愛想ばかりをふりまく人間。


闇に手を染め自身をわすれる人間。


そして、いつしか自分もその穢れた世界に染まっていってしまった。