「何でアンタがいんのよ?」


「俺、悪いとこあるから。」


「…何それ、病気?」


「んー、頭悪い病?」


そう、おどけるように返され、あたしは呆れた。


そんなところだろうとは思ったけど、彼は「だから寝てれば治るかと思って来たんだけど。」なんて言う。



「だったらあたしの観察なんかしないでよ。」


「いやいや、あまりにも可愛い寝顔だったもので。」


「マジ、殴るよ?」


睨めば彼は、面白がるように笑うだけ。



「首、キスマークつけといた。」


「へっ?!」


驚いて目を丸くし、焦って首元を押さえるあたしを見て、嘘でーす、と勇介は大爆笑をしてくれた。


悔しくて真っ赤になり、あたしは彼に向かって枕を投げる。


危ねぇー、と笑った後、まばたきをした瞬間に彼は男の顔になり、あたしは身を固くする。



「それくらい無防備なんだよ、奈々は。」


その瞳に捕えられると、動けなくなる。


勇介は目を細めるようにふっと口元を上げ、軽く唇を触れさせた。



「俺じゃなかったらどうすんの?」