「なぁ、そろそろマジで俺のこと考えろよ。」


「考えた結果、拒否ってんだけど。」


「マジ、俺ほどお前とヤりたがってるヤツはいねぇよ。」


そうだろうね。


とは返さず、わざとらしく肩をすくめて見せた。



「アンタあたしの何が良いの?」


「気強いとこ?
そういうのをねじ伏せんの、考えただけでソソるんだよ。」


「キモーい。」


棒読みで言い、あたしは体を反転させるように窓に背を預ける。


ヒロトも同じようにあたしの横で、窓に背をつけポケットへと手を突っ込んでいる。



「何かあたし、マジでアンタに犯されそうで怖いんですけど。」


「それも手だな。」


否定してください。


にやりと笑ったヒロトが恐ろしすぎて、嫌になる。


こいつのことは嫌いではないが、こういうところがあるからこそ、好きにはなれないと思ってしまう。



「アンタさ、黙ってりゃそれなりじゃん?
別にあたしじゃなくても良いと思うんですけど。」


「いや、俺は俺に惚れない女をねじ伏せてやりてぇの。」


まったく、頭がおかしいヤツだ。



「頼むから、世界平和のためにもさっさと去勢してよね。」


そう言って、あたしはヒロトから歩を進めた。


廊下に注ぐ窓からの陽射しは少しばかり強くなり、人の熱と混ざり合い、だから最近、あたしのテンションはかなり低い。