放課後、本当にあたしを待つこともなくふたりで帰ってしまった親友たちを見送り、仕方がなく委員会のある教室へと入った。


ドアを開けてみればまだ人はまばらで、帰ってやろうかとも思ってしまうが。


適当な席につき、ため息を混じらせたその刹那。



「あ、奈々じゃん。」


思わずびくりと肩を上げた。



「…何で勇介がいんの?」


「俺、保健委員代理。」


そう言って、勇介が入ってきて、何故か当然のようにあたしの隣へと腰を降ろす。


だから、何でコイツはこういうことが平気で出来るのかがわかんないんだけど。



「うちのクラスの保健委員って、保健委員のくせに体弱くて休んでばっかで。
で、俺じゃんけんに負けて代理になっちゃったの。」


だから何だと言うんだろう。


チュッパを咥えて呆れ気味で頬杖をつくあたしに、彼は笑う。



「ね、悲惨っしょ?」


「あたしだってあみだでなったんだから、もっと悲惨だよ。」


「マジ?
奈々ちゃん可哀想にー。」


思ってないくせに。


あたしの隣にいる勇介は、だからなのか余計に人目を引いている。


後輩の女の子がちらちらとこちらを伺ってたり、そういう視線が突き刺さって痛い。



「で、何であたしの横に来る必要があんの?」


「そんなひどいこと言う?」


彼はそう、ケラケラと笑っている。


もう頭が痛くなってきて、突っ込むのも馬鹿らしいけど。