「どうして?」


「だって俺のこと友達としてしか見てないだろ?
下心丸出しの女はドン引きだから。」


確かにあたし達親子は、シンちゃんに対して特別な何かを思うこともない。


チヤホヤされると、それが男でも女でも鬱陶しくなる彼らしい言葉だとは思うけど。



「それよりお前の話だよ。」


「あたし?」


「そうだよ、奈々のこと。
いつまでもこんな店通ってないで、本気になれる男探せっての。」


探せるものならとっくに見つけている。


また不貞腐れるようにため息を混じらせ、お酒を流した。



「じゃあ誰か紹介してよー。」


「してやっても良いけど、ゲイだぞ?」


ゲイに本気になってどうする。


呆れたように肩をすくめると、やっぱりシンちゃんは笑っていた。



「お前、女子高生のくせに酒乱だなぁ。
んなことバレると俺捕まるぞ?」


そう言いながら、ちっとも悪いことだと思ってないくせに。


多分、お酒が好きなのはママの遺伝だろうとは思うけど。


薄暗い店内は常連客も多く、みんなダーツをしながら勝手に騒いでいる。


シンちゃんは自分の店なのに酒を作るでもなく、のん気にあたしと話し込むのはいつものこと。


あたしはそんな様子をぼーっと見つめながら、また酒を流し込んだ。