「あ、今の流れ星じゃない?」


「うそっ!」


「はい、嘘ー。」


思わず怒ると、笑いながら勇介にキスをされた。


何かを決意しても、あたし達は変わらずこうやって過ごしている。



「てか、こんなのに3回も引っ掛かるのなんか、奈々だけだよ。」


「うるさいよ、馬鹿!」


「まぁ、そういうのが可愛いんですけどね。」


何億光年とも言われるこの輝きを前にすれば、あたし達の命なんて、一瞬の煌きのようなものなのかもしれない。


けれどもこの、無数に散らばる星の中からたったひとつを選び出すように、あたし達は出会ったね。


運命だって何もかも、ここに来れば、まるで小さなことのよう。


例えばそれは、流れ星を見ることのように、奇跡に近いのかもしれない。


願ったって叶うものじゃなくて、手繰り寄せることすら出来ないけれど、でも希望に似てる。


あたし達は永遠を誓えるほど大人じゃないけど、現実から目を逸らすばかりの子供でもないから。


だからこの場所で笑い合うんだ。


変わらない星の輝きの下で、変わらない笑顔。


それはとても愛しくて、もっとも尊いもののよう。



「好きだよ、奈々。」


いつか、こんな日々を懐かしく思う時が来たとしても、きっとあたし達は変わらないだろう。


この星屑のように、輝きを失わぬよう。








END