勇介がやってきたのは、3時間目の終わりだった。



「うちの親、さっき離婚が成立したんだ。」


そう言っていたが、でも悲しさはなさそうな顔。


名字はそのままにするらしいが、これから少し、引っ越しなどで忙しくなるのだと言う。


それは決して喜べることではないけど、「久しぶりに家族で向き合って会話したよ。」と言った時の彼の顔は、少しばかり嬉しそうだった。



「土屋クンもさ、何かよくわかんないけど、色々大変だったんだね。」


スッチは言う。


ヒロトはここに勇介がいることが釈然としないような顔だったが、でもその隣には樹里が寄り添っている。


学校の誰もがそんなことを不思議に思ってこちらを見ているが、でもあたし達はそんなことさえ気にならない。



「つーかお前らさ、あれから何やってたんだよ?」


ヒロトはそう、眉を寄せる。


あたしと勇介は思い出したように笑い、顔を見合わせた。



「俺らはどうやら、兄妹になりそこねた関係だったみたいでさ。」


彼の言葉に、みんなはわけもわからないといった様子で首を傾げた。


だけどももう、何も隠すことはない。


あたし達は決して背徳者ではなく、胸を張れる関係だから。



「話すよ、あたし達のこと全部をさ。」