食事を終え、あたし達はベッドの中でまどろみながら、口付けばかりを交わし合う。



「俺さ、愛なんて目に見えないもの、信じてなかった。」


「うん。」


「愛してるだとかそんなたった一言に振り回されて、くだらないことに一喜一憂してるやつら見て、正直馬鹿みたいだと思ってたよ。」


物悲しそうな顔で、彼はあたしの髪を梳く。



「でも俺、奈々に会って、色んな気持ち知った。
そういうのも悪くないのかな、って段々思うようになったんだ。」


滑らされた視線に、あたしも同じように口元を緩める。


何ひとつ纏っていない肌に触れるのは、勇介の指先。



「今だってさ、ちゃんとはわかんないよ。
それに胸張っても言えないかもしれないけどさ。」


でも、愛してるよ。


そんな曖昧な告白を聞きながら、彼の胸の中で笑った。


あたし達はまだまだ幼くて、だからきっと知らないことの方が良いのだろうけど。


それでも、これからふたりで学んでいけば良い。



「あたしもさ、今も愛なんてよくわかんない。
けど、勇介のこと愛してると思うんだ。」


何それ、と彼は笑う。


シーツは乱れ、情事の痕跡が色濃く残る。


結局は体を重ねてしまうのだけど、でも、互いの存在にこれほどまでに安堵したことはなかったろう。


ただ、愛しいと思った。


カーテンの開いた窓からは、冬も近い夜空に星が広がっている。



「ねぇ、また一緒に星見に行こう?」


良いよ、と勇介は言う。


あたし達はまるで小さな子供のように、指切りをした。