昼にお店はやっていない。


でも、ドアに手を掛けた時、扉が開いたことには驚いた。


カラン、とカウベルが鳴り、それに気付いた彼は顔を上げ、あたし達を見て驚くように目を見開いた。



「どうして奈々ちゃんが、勇介くんといるの?」


トキくんの疑問は、当然なのかもしれない。


それでも制服姿を咎めないのは、彼らしいのかもしれないけれど。



「シンちゃんに会いたいの、今すぐに。」


「どうして?」


「聞きたいの、あたし達が生まれた時のこと。」


彼の目を真っ直ぐに見据えて言うと、だけどもトキくんは眉を寄せる。


その時、後ろでドアの開く音が響いた。



「シンちゃん!」


コンビニの袋片手の彼の姿。


シンちゃんもまた、勇介と手を繋いだままのあたしを見て、驚いた顔をしている。


咥え煙草のままにこちらに歩み寄り、刹那、彼は勇介の胸ぐらを掴み上げた。



「てめぇ、ふざけんじゃねぇぞ!
今度この店に来たらどうなるか、言ったろうが!」


「シンちゃん、やめて。」


あたしはそれを制止した。



「確かめに来たの。」


「…あ?」


「勇介のお父さんと、うちのママの関係を。」


シンちゃんは、意味もわからないと言った様子であたしを見る。


口を挟んだのは、勇介だった。



「土屋総一郎、知ってますよね?」