言った瞬間、ふたりは驚くように顔を上げた。



「今はまだ言えないけど、これから確かめなきゃいけないことがあるの。」


ヒロトはあたしを見て、そして勇介を見た。


彼は短くなった煙草を投げ捨て、ふっと笑う。



「葛城に心配されたくないっての。」


「別にてめぇの心配なんかしてねぇだろ。」


言い合いながらも、ふたりに険悪な雰囲気は見られない。


そしてヒロトは、諦めるようなため息を混じらせた。



「何かわかんねぇけど、お前ら黙っていなくなるんじゃねぇぞ。」


「大丈夫。」


あたしの言葉に、ヒロトは肩をすくめて見せる。



「奈々!」


樹里は涙を混じらせるが、



「なら、俺じゃお前は手に負えねぇし、さっさとアイツんとこ行けよ。」


引き留めるような彼女を制止し、ヒロトは言ってくれた。


だからあたしは、背を向ける。


勇介も笑いながらきびすを返し、ふたり、公園をあとにした。


空も心も晴れ渡り、少しの寂しさはあったものの、もう未練はない。



「行こう、奈々。」


確かめに行こう。


どんなことを聞いたって、あたし達はきっと大丈夫だ。