「あたしもだよ。」


「あとさ、こんなん俺が言うべきじゃねぇのかもしれねぇけど、樹里は何も悪くねぇから。」


男らしくもヒロトらしい。


だからわかってるよ、と言うと、彼は少し安堵したような顔になった。



「あたしね、ヒロトにはいっぱい感謝してる。」


だから、別れよう。


あたしがそう言った時、ヒロトは笑ってくれた。


その笑顔は、今まで見た中で一番優しいものだった。



「お前から振ってくれて良かったよ。」


「何それ、意味わかんないっての。」


笑い合うあたし達は、きっと友達に戻れるだろう。


樹里はまだ泣いていて、ごめんね、ごめんね、と言い続けていた。



「樹里、何でまだ泣いてんのよー。」


彼女はぐすっ、と鼻をすすりながら、あたしを見た。



「ホントのこと言うと、あたし、奈々なんかいなくなれば良いのに、って思ってた。
ヒロトのこと諦められなかったし、それにっ…」


「もう良いってばぁ!」


そう、笑ってやると、ヒロトは樹里の頭をぽんぽん、とする。


だからこのふたりは、きっと大丈夫なんだろうと思った。



「あたしと勇介さ、もしかしたら学校辞めるかもなんだ。」