起きた時にはもうお昼も近い時間で、携帯の電源を入れてみれば、そこにはみんなからのメールや留守電が数えきれないくらいに入っており、笑ってしまった。


勇介はそんなあたしを見ながらのん気に煙草なんか吸ってて、大して気にも留めていない様子。


なので、ヒロトに電話を掛けた。



『奈々?!』


数コール鳴ったかと思えば、鼓膜が破れるような大声。


何だかんだ言いながらも心配してくれてたんだろうな、と思ってしまう。



「ねぇ、今何やってる?」


『つーかお前こそ、一晩何やってたんだよ。』


今度は呆れるような口調だった。


どうやらあたし達は、昨日の喧嘩もどこへやら、って感じのようだ。



「それよりさ、これから会えない?」


『…これから、って…』


「アンタ今、どうせ学校サボって樹里と一緒でしょ?」


責めるでもなく笑って言ってみれば、電話口の向こうは気まずそうな沈黙に包まれる。



「ついでだし、樹里と一緒に来てよ。」


わかった、とヒロトは言った。


一緒にいたことを否定しなかったのは、彼なりの誠意だと思ったし、だから怒ることなんて何ひとつない。


待ち合わせ場所はここから近い公園に決め、そして電話を切った。



「勇介も行こうよ。」


言うと、彼は肩をすくめ、立ち上がった。


長い長い一日の始まりだ。