勇介の少し暗めのアッシュブラウンの髪の毛が、風に揺れる。


短くなった煙草を消し、彼はあたしも口をつけたはずのジュースを飲んだ。


また間接キスだ、と思ってしまうが。


勇介は足を投げ出し、ライターをかちかちとしながら遊んでいる。


あたしは膝を抱えたままにその炎を見つめ、夜の闇の中で妙に綺麗だな、と思っていた。



「アンタ友達多そうだから、羨ましい。」


「何となく増えるだけだよ、あんなの。
適当に騒いでる連中見て、適当に楽しんで、って。」


「それって本当の友達じゃないってこと?」


「そうでもないよ。
つーか、俺そういうのよくわかんないし。」


聞けば聞くほど、似ていると感じるから、少し怖い。


この人もまた、あたしと同じように、誰かの中に深く立ち入ることも、誰かに深く立ち入られることも恐れているかのよう。


結局、どこか表面上でしか付き合っていない、ってことだろう。



「奈々はどうなの?」


一瞬、言葉に詰まった。


あたしもまた、樹里や沙雪といると、それなりに楽しくて、でもよくわかんないのだ。



「…微妙?」


困ったように言うと、勇介はそんなあたしに呆れたように笑っていた。


嫌いじゃない顔だ。