あたしとヒロトは何ひとつ肝心なことを話すでもなく、それでもいつも一緒にいた。


それは樹里や沙雪やスッチとも同じで、なのに一緒にいる意味なんてあるのだろうか。


もしかしたら、誰かと繋がっていることだけで、そんな小さなことに安堵していたのかもしれない。


ヒロトはあれ以来、あたしに家庭のこと話すことなんてなかったし、あたしも我が家の事情なんて言わなかった。


それは未だにママやシンちゃんに聞くことが出来ていないからだろうけど。


ヒロトと付き合い始めて、もう一ヶ月になるんじゃなかろうか。


優しさと、時折見せる狂気な瞳に戸惑うことがある。


でも、拒絶されるのが怖くて、だからあたしは何も言えなかった。


それがまた、ヒロトの不安に繋がっていたのだろうけど。


どうしてあたし達は、それでも付き合っているのだろうか。


きっと別れれば、最後のタガさえ外れてしまう気がしていたから。


だからこんなにもすれ違っていたなんて、少なくともあたしは、気付けなかったんだ。


冬にも似た日が増えたと思う。







「こう寒いんじゃ、のん気に歩いてらんないっつの。」


あたしとヒロト、そして沙雪とスッチとで、彼らの地元で遊んでいる時だった。


11月にもなれば、本当に寒さが身に沁みる。



「ねぇ、どっか入ろうよー。」


「んじゃあ、みんなで俺んち来れば?」


文句を言った沙雪に対し、ヒロトが提案した。


彼の家は元々友人連中の溜まり場みたいになっているので、誰もそれに異論はない。


何より偶然にもヒロトの家の近くだったし、なのであたし達は、彼の家にお邪魔することにした。