あの日から、更に一週間が経過した。


さすがに無意味に涙が流れることはなくなったが、でもその分、心が渇いているようにさえ感じてしまう。


樹里は学校に来ても、まるであたし達を避けているかのようだった。


表面上はいつもと変わりないけど、でも、あまり目を合わせてはくれず、他の子たちといることが多い。







「ねぇねぇ、奈々ちゃん!」


声を掛けてきたのは、クラスメイトのひとりだった。


顔を向けてみれば、無駄にグロスの乗った唇が持ち上げられる。



「最近三姉妹、どうしちゃったの?」


「別にどうもしてないよ。」


ふうん、と彼女は言うけど、でもあたしは、その顔も見ることなく、唇ばかりに目が行ってしまう。



「てゆーかさぁ、土屋クンと別れたんでしょ?」


はっきりと聞いてきたのは、多分彼女が初めてだろう。


周りの女たちまでそれを聞き付けたかのように、わらわらと集まってくる。



「んで、今の土屋クンの彼女って、あの一年の女なんでしょ?
名前なんだっけ、ほら、さっき腕組んで歩いてたヤツ!」


「あぁ、何だっけ?
でもさ、いきなりラブラブだったよねぇ!」


口ぐちにあたしを囲み、落とされた言葉。


まるで頭を鈍器で殴られたような衝撃だった。