3人は、不安そうな顔を見合わせ、あたしはひとり、きびすを返した。


勇介は今、どうしているんだろう。


頭の中はそればかりで、ふらふらと当てもなく歩きながら、校舎裏まで来たところで、足が止まる。



「…勇、介…?」


でも、それ以上は動けなかった。


何で学校に来ているのか、そこで何をしているのか、どうして連絡してくれなかったのか。


なのに言葉は出ない。


一週間ぶりに見た彼は、女とキスを絡めていた。


人気のない校舎裏で、壁に押し当てられた女の後ろ姿と、あたしのことを好きだと言った彼の姿。


その瞳はこちらを捕え、でも嘲笑うように目が細められる。


まるで、見たいならどうぞ、とでも言いたげな顔に、震えた足は意志とは別に、反対方向に動いてしまう。


あたしは逃げたのだ。





どうして?
どうして?
どうして?



嘘だと思いたくて、でもまぶたの裏にははっきりと、先ほどの残像が残っている。


ぼろぼろと涙が溢れ出し、体が震えた。


今までのことと先ほどのこと、どちらが夢なのだろうか。


全てが音を立てて崩れ落ちるようで、現実を直視出来なかった。


勇介の考えていることがわからない。


あたしの存在は、何?